インフルエンザは、インフルエンザウイルスへの感染を原因として、急な高熱、悪寒、全身倦怠感、頭痛など、さまざまな症状をきたす感染症です。
インフルエンザウイルスにはいくつもの種類があるため、同じ年に、違う種類のインフルエンザに2回以上かかることもあります。
例年、12月~3月頃にかけて流行します。
そこで、インフルエンザを徹底解説し、慌てず行動できればと思います。
インフルエンザとは
インフルエンザ(Influenza)は、ウイルスによって引き起こされる急性の呼吸器感染症です。主にインフルエンザウイルスと呼ばれるRNAウイルスが原因となります。インフルエンザウイルスはA型、B型、C型の3つに分類され、A型とB型が人間に感染して症状を引き起こします。
インフルエンザA型(Influenza A):
ウイルスの特徴:
●A型インフルエンザウイルスは、ヒトだけでなく、鳥や豚などの動物にも感染することがあります。
●さまざまなサブタイプ(H1N1、H3N2など)が存在し、これらのサブタイプは表面のヘマグルチニン(H)とノイラミニダーゼ(N)と呼ばれるタンパク質の組み合わせで識別されます。
感染と流行:
●A型インフルエンザは季節性インフルエンザの原因であり、また新しいウイルスの変異により大規模なパンデミック(流行)を引き起こすことがあります。
インフルエンザB型(Influenza B):
ウイルスの特徴:
●B型インフルエンザはヒトに感染するウイルスで、鳥や豚などの動物には感染しません。
●表面にはヘマグルチニン(H)とノイラミニダーゼ(N)という2つのタンパク質がありますが、A型とは異なるサブタイプが存在します。
感染と流行:
●A型インフルエンザほど変異が起こりにくいため、季節性インフルエンザの原因となることがありますが、大規模なパンデミックを引き起こすことは比較的少ないです。また、重症度はA型より低いとされています。
インフルエンザの症状
インフルエンザの症状は、通常、急激に現れ、一般的には風邪とは異なる特徴的な症状が見られます
高熱(発熱):
●インフルエンザの最も一般的な症状であり、急激な高熱が現れます。体温が38度以上に上がることがあります。小児だと40度以上になることも多く、熱性痙攣(ねっせいけいれん))やインフルエンザ脳症に注意が必要です。(めっちゃしんどいです)
筋肉痛と関節痛:
●全身の筋肉や関節が痛むことがあります。これは「筋肉痛」と呼ばれ、しばしば強い痛みを伴います。
倦怠感(だるさ):
●体力が急激に低下し、倦怠感やだるさを感じることがあります。一般的には風邪よりも症状が重い傾向があります。
咳:
●乾いた咳や痰を伴う咳が一般的です。喉の痛みも感じることがあります。
喉の痛み:
●喉が痛んだり、イガイガする感じがあることがあります。
頭痛:
●頭痛が発生することがあります。これは一般的に全身の症状と同時に現れます。
鼻水や鼻づまり:
●鼻水や鼻づまりがあることがありますが、これは風邪とは異なる特徴的な症状ではありません。
寒気や発汗:
●寒気を感じることがあり、同時に発汗が増えることもあります。
検査
PCR検査(Polymerase Chain Reaction):
●PCR検査は、ウイルスの遺伝子を増幅して検出するための高感度な検査手法です。
●検体は通常、鼻やのどからのぬぐり取り液や痰、喉のぬぐり取りなどが使用されます。
●この検査は非常に正確で感度が高いため、インフルエンザウイルスの存在を確認するのに有用です。
急性期血清検査(Rapid Influenza Diagnostic Tests, RIDTs):
●急性期血清検査は、インフルエンザの診断を迅速に行うための検査方法の一つです。
●検体は通常、鼻やのどからのぬぐり取り液です。
●結果が比較的迅速に得られ、約15分から30分で結果が分かります。しかし、PCR検査ほどの感度はないため、偽陰性の可能性があります。
主な治療方法
インフルエンザの治療は、主に内服と症状の緩和に焦点を当てています。以下に、インフルエンザの治療方法を示します
1.内服薬・点滴薬
タミフル(カプセル)
薄い黄色と灰色のカプセル剤。1日2回、5日間服用することで、細胞の中で増殖したウイルスの拡散を防ぎます。
呼吸器の病気や高齢のため、吸入薬のイナビルやリレンザを吸い込むのが難しい人には、タミフルが処方されることが多いです。
タミフルを服用した子どもの異常行動や転落事故が報告されたことから、10代の患者への投与は中止されていましたが、タミフルと異常行動の因果関係が明確ではないことから、2018年8月より10代にも投与が可能となりました。
治療薬を服用していても、いなくても、インフルエンザにかかった子どもが「幻覚を見る」「うわごとを言う」「興奮する」などの異常行動を起こすことはあります。
未成年者がインフルエンザと診断されたら、少なくとも2日間は1人にせず、大人が見守ってください。
タミフル(ドライシロップ)
タミフルには、水に溶かして飲む顆粒状の「ドライシロップ」と呼ばれるタイプもあります。
カプセルを飲みこみにくい小さな子どもに処方されることが多いのですが、味は苦いです。
飲みにくい場合は、チョコレート味のアイスやお薬ゼリー、ヨーグルト、オレンジジュース、スポーツドリンクに混ぜると苦みが和らぎます。
逆にバニラアイスや乳酸菌飲料、リンゴジュースに混ぜると、ますます苦くなってしまうので注意しましょう。
溶かしてから時間が経つと薬の苦味が出てくるので、食べ物や飲み物と混ぜたら、なるべく早めに飲んでください。
タミフル(ジェネリック)
2018年9月、タミフルのジェネリック薬、オセルタミビルが発売されました。タミフルと同様、カプセル剤とドライシロップがあります。
ゾフルーザ
2018年3月に発売された新薬。タミフルをはじめとするこれまでの治療薬は、細胞の中で増殖したウイルスが拡散することを防ぐものですが、ゾフルーザはウイルスの増殖そのものを抑える薬です。
年齢を問わず体重10キログラム以上の人が使え、1回飲むだけでいいのが手軽で便利です。ただし新薬なので値段が高く、使用が始まったばかりなので、ほかの治療薬に比べて副作用などのデータが少ないという側面もあります。
イナビル
容器に入った粉末の吸入剤。容器は20mg入りで、成人および10歳以上の小児は40mg(容器2個)を、10歳未満の小児は20mg(容器1個)を1回吸入します。
1回吸入するだけで5日間効果が持続するので、その点は便利なのですが、幼児や高齢者だとうまく吸い込めないことがあります。そのため服用前に、吸入確認用の笛を吹くように指示されることがあります。
イナビルの添加物には、乳タンパクが含まれています。牛乳アレルギーのある方は、医師や薬剤師に必ず相談してください。また吸入薬のため、喘息など呼吸器に病気のある人も注意が必要です。
リレンザ
イナビルと同様、粉末の吸入薬です。1日2回5日間、「ブリスター」と呼ばれる薬が入ったディスクを専用の吸入器(ディスクヘラー)にセットして吸入します。
イナビルと同様、リレンザの添加物にも乳タンパクが含まれているので、牛乳アレルギーのある方は、医師や薬剤師に必ず相談してください。吸入薬のため、喘息など呼吸器に病気のある人も注意してください
ラピアクタ
抗インフルエンザ治療薬の中で唯一の点滴薬です。錠剤や吸入剤がうまく服用できないお子さんや高齢者、障害のある方、入院中の患者さんなどに使われることが多いです。
約15分の点滴を1回するだけで効果が得られますが、腎機能障害のある方には注意が必要な薬なので、該当する方は必ず医師に申し出てください。
インフルエンザ罹患中の過ごし方
1.安静と休息:
●インフルエンザの初期症状が現れたら、十分な休息が必要です。寝ることで免疫機能が活性化され、回復が促進されます。
2.適切な水分補給:
●発熱や発汗により水分が失われるため、十分な水分摂取が必要です。特に高熱の場合は脱水症状になりやすいため、水分摂取に注意が必要です。(電解質入りの水分がお勧めです。ポカリスエットやアクエリアスなど、子供にはリンゴジュースやカルピスなど糖分がしっかり入っている物をすすめてあげて下さい)
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●発熱や痛みを和らげるために、医師の指示に従って解熱剤(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)を使用することがあります。ただし、特に子供や妊婦の場合は医師に相談することが重要です。(筋肉痛はこれでほぼほぼ緩和されると思います)(子供が暑がっているようならアイスノン保冷剤で腋の下や股の間にいれてあげて下さい)
インフルエンザの出席停止期間
・発症後5日かつ解熱後2日必要
・発症した日を0日と数え、3日以内に解熱していれば、最短で6日目から出勤・登校可能
まとめ
インフルエンザを予防するためには、予防接種が不可欠です。
手洗いをこまめに行い、公共の場では適切なマスクの使用を心がけましょう。
くしゃみや咳をする際には、ティッシュや袖で口や鼻を覆い、使い終わったティッシュは即座に捨てることが重要です。
人混みを避け、特に感染が広がっている冬季には慎重に行動します。
免疫を高めるためには、バランスのとれた食事、十分な睡眠、運動も欠かせません。感染リスクの高い人との接触を避け、社交的な行動に注意を払います。
これらの健康習慣を実践することで、インフルエンザから身を守り、感染のリスクを最小限に抑えることができます。
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